当院が日本で初めて導入した前立腺がんの診断・治療法について、プレスセミナーを開きました

2018年2月13日

学校法人東海大学では1月31日に東京・霞が関の東海大学校友会館で、医学部付属八王子病院が日本で初めて導入した前立腺がんの診断・治療法に関するプレスセミナー「60歳以上の男性の2人に1人が罹患、前立腺がん診断・治療の最前線~がんのみを治療、機能温存によるQOLの向上を目指す~」を開催しました。新たな診断・治療法を研究し、実践している付属八王子病院泌尿器科の小路直准教授が、「前立腺内部の3次元的がん局在診断とがん局所療法(フォーカルセラピー)」をテーマに講演。報道機関者ら約40名が参加しました。

前立腺がんは症状が出ないことが多いため、腫瘍マーカーの一つであるPSA(前立腺特異抗体)の値が4以上の場合に、前立腺に10数本の針を均等に刺して組織を採取する生検(病理検査)を行います。しかしこの方法は出血や痛み、感染症のリスクを伴い、がんの有無や位置を正確に判断できないといった問題がありました。また、手術の場合は前立腺をすべて摘出しなければならないため、排尿機能や性機能が損なわれることも課題となっていました。

そこで小路准教授は、核磁気共鳴画像(MRI)による3次元の画像に超音波検査(TRUS)で得られる2次元画像を融合させて可視化し、がんが疑わしい部分を特定して生検する「MRI-TRUS融合画像ガイド下生検」を2013年11月に日本で初めて導入。この方法により、従来は発見できなかったがんを検出し、その位置や大きさ、形状をより正確に判断できるようになりました。また、16年4月には本学医学部臨床研究審査委員会の承認を得て、高密度焦点式超音波療法(HIFU)による部分治療(フォーカルセラピー)を開始しました。これは、「MRI-TRUS融合画像」により特定したがんとその周辺のみを、直腸から挿入した器具から超音波を照射して壊死させる方法です。排尿や性機能に影響する部分を可能な限り残すことができるだけでなく、身体にメスを入れないため、治療時間が1時間程度と短く、24時間以内に退院が可能となりました。

小路准教授は、「MRI-TRUS融合画像ガイド下生検を実施した450例のうち247例(54%)にがんが見つかるなど、従来の方法に比べて高い検出率となっています。この診断法は、昨年2月には厚生労働省から『先進医療A』として承認され、2年後には保険診療の該当を目指しています。少しでも多くの患者さんの助けになるよう積極的にこの診断技術を広めており、すでにいくつかの病院にも導入されました。また、HIFUによる部分治療も50例を超えましたが、その87%の方からは、治療後の生検でがんが認められないという結果を得ています。患者さんを対象としたアンケート調査でも、施術後の機能回復はもちろん、健康観についても満足度が高いという高評価をいただいています。今後も研究を続けるとともに、その成果や技術を多くの人々に広め、前立腺がんの患者さんの治療や施術後のQOLの向上に寄与していきたいと思います」と抱負を語りました。講演後には活発な質疑応答が行われ、終了後にも多くの参加者が小路准教授に個別に質問する姿が見られました。