病院長挨拶

病院長挨拶


病院長
脳神経内科学教授
野川 茂

 2024年4月1日より、病院長を拝命致しました。
 東海大学医学部に付属する当院は、2002年高度急性期医療の提供が可能な地域中核病院をめざして開院しました。その理念は、「理解と調和の精神とリスクマネージメントに基づいた患者中心の心温まる医療」であり、患者・家族との相互理解に基づいたヒューマニティーあふれるチーム医療を行って参りました。そして、2018年には南多摩医療圏における3つ目の「地域医療支援病院」として、東京都より承認されました。さらに、2023年8月からは、医師会の先生方からのご推薦を受け、「紹介受診重点医療機関」に認定していただきました。これも日頃の皆様の暖かいご支援の賜物と厚く感謝申し上げます。

 さて、この新しい「紹介受診重点医療機関」制度は、患者さんがまず「かかりつけ医」の先生方を受診し、必要に応じて重点医療機関にご紹介いただくもので、患者さんの流れの円滑化と外来機能の明確化・連携の強化をめざして開始されました。これにより、患者さんの多様なニーズに対する専門的医療の提供、重点医療機関における待ち時間の短縮、さらには難病診療などの専門性の高い外来の充実などにつながるものと期待されます。

 当院で提供される高度医療のひとつががん診療であり、2017年に東京都、2020年に厚生労働省の「がん診療連携拠点病院」を取得しました。特に、超高齢社会を踏まえ、内視鏡的粘膜切除術(EMR)のほか、腹腔鏡・胸腔鏡を用いた低侵襲手術にも積極的に取り組んでいます。また、放射線治療については、2012年に高精度放射線治療装置NOVARIS®、2022年には最新鋭のHALCYON®を導入し、強度変調放射線治療(IMRT)を含む高精度低侵襲治療を行っています。さらに、「がん相談支援センター」では、様々ながん種に対する「がんサロン」を開催しており、患者同士のピア・サポートも積極的に推進しています。

 もうひとつの高度治療が、脳卒中・循環器病に対する急性期治療で、循環器センターでは、虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はもとより、心房細動に対するアブレーション治療も積極的に行っています。また、画像診断科では、様々な状況下において末梢動脈のインターベンション(IVR)を行っています。脳卒中については、24時間体制で血栓溶解療法に対応し、適応症例には機械的血栓除去療法を追加して良好な成績を収めています。さらに、2019年に「脳卒中・循環器病対策基本法」が施行されましたが、2022年度には院内に「脳卒中相談窓口」を設置し、脳卒中学会「PSC(一次脳卒中センター)コア」に認定されました。今後は、多職種による両立支援を含めた細やかな患者支援を行って参ります。

 2024年度の診療報酬同時改定では、従来の医療・介護を中心とする地域包括ケアシステムに、福祉を加えた三位一体の制度改革が議論されています。当院は災害拠点病院であると共に、南多摩二次医療圏における唯一の東京都難病協力病院でもあり、高度急性期医療の担い手としてのみならず、真に地域にとって役に立つ病院をめざして頑張っております。今後とも皆様の暖かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。