リハビリテーション科

リハビリテーション科専門医(後期研修医)養成プログラム

1.当科の紹介

開院以来、リハビリテーション(以下リハビリ)科は急性期を中心(回復期も含め)とした入院リハと外来リハを幅広く行なってきました。リハビリ科医は病気や外傷、加齢などによって生じる障害の予防、診断、治療を行い、機能回復並びに活動向上や社会参加に向けてのリハビリを担う医師です。失われた機能の回復を促進し、残された機能を最大限に生かし、日常生活の自立や社会復帰、さらに生活の質(QOL)を向上するためにリハビリ診療に取り組んでいます。その対象は小児から高齢者であり、対象疾患は多岐にわたります。包括的なチーム医療として、現在3名のリハ科医を中心にPT17名、OT8名、ST5名のセラピストとともに、各診療科の主治医やリハ関係職種と連携をとりながら行なっています。また、脳外・神経内科、整形外科の医師、看護師、医療ソーシャルワーカーとのリハビリカンファレンスも毎週行われ、リハビリの経過や患者さんの状態把握や方針について話し合いをもちます。

早期のリハビリだけではなく、義肢・装具・車椅子外来、痙縮治療外来(エコーガイド下ボツリヌス毒素治療)(年間100件以上)電気生理外来(筋電図検査(年間100件程度)、経頭蓋磁気刺激)等の特殊外来での評価や治療を行なっています。また、嚥下障害に対するリハビリ(嚥下造影検査(年間150-200件)も含めた)も積極的に行なっています。

2.当科が研修施設として認定されている資格

(1) 日本リハビリ医学会 臨床認定医
(2) 日本リハビリ医学会 専門医

3.スタッフ

(1) 古川俊明 講師(医長、リハビリセンター長) リハビリ科専門医・指導責任者
義肢装具適合判定医、身体障害者福祉法指定医、
日本臨床神経生理学会認定医
(2) 古賀信太朗 助教 リハビリ科専門医、義肢装具適合判定医
身体障害者福祉法指定医

4.研修プログラムの基本理念と概要

患者さんがかかえている疾患を横断的、総合的に理解し、疾患に伴う障害を医学的に診断・評価・治療し、機能回復と在宅・社会復帰に向けてリハビリチーム医療(リハマインドをもって全人的に障害を理解すること)をおこなっていくことが大切となります。

1) 説明と同意にもとづいた最良の診療をめざす。
2) リハマインドをもった医師をめざす。
3) リハビリチーム医療をめざす。
4) リハビリ対象疾患を幅広く経験し、臨床能力を高める。
5) 学会や研修会に積極的に参加し、最先端の知識や技術を習得する。

3年間の日本リハビリ医学会の卒後研修プログラムにより、専門医になるための研修領域(脳卒中、外傷性脳損傷、神経・筋疾患、末梢神経障害、骨関節疾患、関節リウマチ、呼吸器疾患、循環器疾患、脊髄損傷、小児疾患(脳性麻痺を含む)、切断、悪性腫瘍など)をカバーすることができます。また、医学部付属病院では熱傷やNICU/小児、切断等のリハビリ、付属大磯病院では専門リハ病棟診療、腎・膀胱機能検査、地域リハビリ、リエゾンカンファレンス等を研修することができます。

5.研修到達目標

1) 各種リハビリ疾患の障害診断と予後予測を行い治療計画立案(ゴール設定)ができる。
2) 早期リハビリ開始の重要性をよく認識し、実際的な進め方の指示ができる。
3) リハビリの適応を知り、運動に伴うリスク管理のもとリハビリを進めることができる。
4) 廃用症候群(筋委縮、拘縮、起立性低血圧、心肺機能低下、精神機能低下など)の発生機構、
予防・治療法を知り、適切な指示が出せる。
5) 家庭復帰・社会復帰の方針について計画立案ができる。
6) 障害に対する心理的適応への援助ができる。
7) 以下に示すリハビリ的診察法、検査(診断法)及び基本技術・治療を習得する
  1. 診察法(関節可動域評価、徒手筋力評価、片麻痺機能評価、日常生活動作評価(バーセル・インデックス、機能的自立度評価など)、日常生活関連動作評価、歩行の安定性・歩容の観察)
  2. 電気生理学的評価(神経伝導検査及び針筋電図検査、経頭蓋磁気刺激検査、神経超音波検査)
  3. 嚥下障害の病態の評価(スクリーニングテスト、ビデオ嚥下造影検査)及び治療
  4. 高次脳機能障害の評価と対応
  5. 各種訓練(関節可動域訓練、筋力維持・増強訓練、座位耐久性訓練、床上動作訓練、移乗動作
    訓練、座位・立位バランス訓練、歩行及び応用歩行訓練、高次脳機能障害に対する訓練、
    摂食・嚥下訓練、日常生活動作自立訓練など)
  6. 義肢・装具・車椅子の適合判定、処方、装着訓練
  7. 杖・松葉杖・歩行器及び自助具の選択基準
  8. 物理療法(温熱、低周波、水治療など)
  9. 機能障害へのアプローチ、代償的アプローチ(利き手交換訓練など)
  10. 家庭復帰、社会復帰に向けての指導(在宅生活指導「ねたきり化」を防ぐ「生活の活性化」、
    家族に対する介助方法指導、家屋調整・改善指導、福祉制度・社会資源の利用法と指導
  11. リハビリスタッフとの協調・協力(チーム医療)
    (Ⅰ.理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカーなどの業務内容を知り、
    リハビリの具体的方針につき共に検討する。Ⅱ.リスク管理をふまえて、理学療法、作業療法、
    言語聴覚療法などの指示・処方の出し方を学ぶ。Ⅲ.リハビリテーション専門施設等に患者を
    紹介する必要性の判断基準を学ぶ。)
  12. ボツリヌス毒素治療(エコーガイド下)
  13. 経頭蓋磁気刺激治療(脳卒中、神経筋疾患など)

参加学会・地方会・研修会

1) 日本リハビリ医学会
2) 日本リハビリ医学会地方会(関東地方会など)
3) 専門医・認定臨床医生涯教育研修会
4) 病態別実践リハビリ医学研修会
5) 実習研修会(小児のリハビリ実習研修会、義肢・装具適合判定医師研修会、嚥下障害実習研修会、福祉・地域リハビリ研修会、職業リハビリ研修会、動作解析・運動学実習研修会、脊損尿路管理研修会など)
6) リハビリ科専門医会学術集会
7) 日本臨床神経生理学会
8) 日本摂食・嚥下リハビリ医学会
9) 日本ニューロリハビリ学会
10) 日本ボツリヌス治療学会
11) 日本義肢装具学会
12) 日本高次脳機能障害学会
13) 日本心臓リハビリ学会
14) AOCPRM(アジアオセアニア物理リハビリ医学会議)

問い合わせ先

東海大学医学部付属八王子病院
リハビリテーション科(代表:古川俊明)

〒192-0032 東京都八王子市石川町1838
Tel:042-639-1111
Fax:042-639-1144