血液浄化センター

ご挨拶

東海大学医学部付属八王子病院 腎内分泌代謝内科(腎・透析/糖・代謝科)においては、腎疾患、代謝疾患、糖尿病、生活習慣病等の幅広い領域を担当しています。
腎疾患に関しては、軽度の腎疾患の腎生検を含めた診断治療から末期腎不全の血液透析、腹膜透析それによって引き起こされる合併症までを行っております。合併症対策としては、バスキュラーアクセスや骨病変、二次性副甲状腺機能亢進症などをはじめ、あらゆる内科的、外科的合併症を併発した透析患者さんについて関連各科と共に入院治療をおこなっており、南多摩地域における透析サテライトクリニックの患者様に対する総合医療センターとしての役割を担っています。

当院の透析室について

透析室の概要

透析室内病床数

21床(一日最大稼働数2クール25床)

透析スケジュール

曜日
午前
午後(外来のみ)      

血液浄化法

血液透析(HD)、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)、オンラインHDF、
持続的緩徐式血液濾過(CHF)、持続的緩徐式血液濾過透析(CHDF)、
直接血液還流法(DHP)、血漿交換(PE、PP、DFPP)、腹水濾過濃縮再静注法(CART)

設備

透析用水処理装置 東レ TW-RH 1台
透析液供給装置 日機装 DAB-Si 1台
A・B剤溶解装置 日機装 AHI-502/BHI-502 1台
多人数用透析監視装置 東レ TR-3300M 11台
日機装 DCS-100NX 4台
DCS-200Si 3台
個人用透析監視装置 日機装 DBB-100NX 4台
DBB-200Si 2台
ニプロ NCV-10 3台
アフェレーシスモニター 川澄工業 KM8900 1台
アフェレーシスモニター 旭化成 ACH-Σ 1台

透析業務支援システム「STEP」(ノーザ社製)

当院では、透析業務支援システム「STEP」を導入しており、日々の透析治療をシステム管理しております。また、患者様の採血データや透析効率などコンピューターで一元管理しており、患者様一人一人に合った透析治療を行っております。

透析液の清浄化への取り組み

透析療法のより良い効率を得るために、患者様の血液を透析液にて希釈し浄化する「オンラインHDF」という治療法があります。当院においても2015年度よりこの「オンラインHDF」を導入しております。当院では、日本透析医学会の「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008」における水質管理目標値を満たし、患者様に安心・安全な透析液のご提供を行っています。

特徴

腹膜透析について

血液浄化の半透膜として、自分の体の中にある腹膜を使用します。腹膜は腸を始めとするお腹の中(腹腔)の臓器を覆っている薄い膜です。腹膜の延べ面積はほぼテニスコート一面分と同じであり、毛細血管が網の目のように走っています。お腹に専用管(カテーテル)を手術によって入れ、このカテーテルを使用して透析液を腹腔内に入れます。透析液を4または6時間いれておくと、腹膜内の血管を介して血液中の老廃物や余分な水分、ミネラルが透析液へ移動します。腹腔内に貯留した透析液を、定期的に新しい液と交換することで尿毒状態を改善します。

腹膜透析と血液透析の比較

  項目 腹膜透析 血液透析
透析方法 透析場所 自宅・会社・学校等 医療施設
透析方法 連日 週3回(4~5時間/回)
透析の拘束時間 1回30分、1日4~5回 1回あたり4~5時間+通院時間、週3~4回
透析の実行者 患者さん自身・ご家族 医療スタッフ
通院回数 月1~2回 月12回
手術 カテーテル挿入術 血管吻合手術(シャント作成)
抗凝固剤 不要 使用
症状 透析時の問題点 お腹のはり 穿刺痛、不均衡症候群(血圧の低下、頭痛、吐気)等
日常生活 社会復帰 可能(有利) 可能(但し、拘束あり)
感染への注意 必要(腹膜炎・出口部感染) 必要(バスキュラーアクセス関連)
入浴 カテーテルの保護必要 非透析日に入浴
スポーツ 可能(但し、水泳・腹圧のかかる運動を避ける) 可能(但し、シャントへの注意必要)
旅行 制限なし(但し、透析液・器材携行あるいは配送必要) 長期の場合は予め透析施設への予約が必須
  自己負担 入浴時の保護物品等の購入 通院費用

腹膜透析と血液透析併用療法

日本では長期の腹膜透析患者の腎機能低下による透析不足を補う目的として、1990年代より腹膜透析に血液透析を併用する方法が実施されてきました。2014年末において9255人の腹膜透析患者の約4.8%にあたる1913人が併用療法を実施しています。 併用療法は透析不足の是正以外にも、腹膜透析休止日に腹膜を休めることができる腹膜機能温存や将来的な血液透析移行に際して患者の受け入れを進めやすいなどの効果も期待できます。当院では、患者の生活や仕事のパタンに合わせて、週1回血液透析に併用療法を実施しています。

在宅透析

在宅血液透析とは、医療施設の管理のもとに、血液透析を自分のライフスタイルに合わせて、自宅で患者・介助者が透析を行う治療です。また、自分にあった透析治療と自己管理を知ることによって、より良い透析ライフを得ることができます。

特徴1.完全社会復帰が期待できる
医療機関に通院することが無くなり、仕事を行う上での時間的制限はほとんどなくなります。

特徴2.自分に合わせた透析ができる
透析計画を自由に立てることができるのが最大の利点です。

特徴3.家族と過ごす時間が取れます
自宅が治療の場であり、家庭生活を十分楽しむ時間的余裕があり、家族とのコミュニケーションが十分に取れます。
東海大学医学部付属八王子病院では、専任スタッフチームによる在宅血液透析の管理を行っています。
教育訓練は、患者・介助者のスケジュールに合わせて計画を立て、マニュアルに沿って、自己穿刺や透析操作などの知識・技術習得を行います。
指定時間内オンコール体制で、担当者と連絡ができるようになっています。医師・看護師・臨床工学技士などの多職種が連携し、在宅血液透析をサポートします。
当院は常に安全を求め、教育訓練内容と技術支援体制について検討・改良を重ねています。

腎臓リハビリテーション

「わが国の慢性透析療法の現況」によると、慢性透析患者数は2014年末には320,448人と年々増加傾向になります。透析患者では、腎性貧血、尿毒症性低栄養、骨格筋減少・機能異常、運動耐容能の低下、易疲労感、活動量減少等により、生活の質(quality of life;QOL)の低下が認められます。長期透析により、心不全や低血圧などの合併症が発生し、患者のQOLを更に低下させてしまいます。そして、透析患者の体力では健常人と比べて、酸素消費量は50~60%、O2運送効率(FO2)は48%、下肢筋力は40%、ADLは50%と言われています。
このような問題に対処するため、近年、腎臓リハビリテーションという概念が提唱されてきました。腎臓リハビリテーションとは、腎臓障害者に対して行う新たな内部障害リハビリのことで、運動療法、薬物療法、栄養療法、教育、精神的ケアなどを要素とする包括的リハビリの一つです。包括アプローチの中でも「運動療法」は重要な要素となります。運動療法の実施により、運動耐容能の改善や筋力の増加によって、日常生活における諸症状が改善することで、ADLのみならずQOLの改善が期待できます。
当院では、2015年8月より維持透析患者には、患者のQOL改善、身体機能の維持・向上を目指すこと目的に透析中の運動療法導入をしました。

フットケア

日本では糖尿病患者の15~25%が生涯のうち1度は足潰瘍になると言われています。糖尿病足壊疽が原因で下肢切断に至る患者が年間3000人になっています。特に透析患者の下肢切断後の生命予後は不良と言われています。下記の表のように1年生存率が約52%に対し、5年生存率は14%に大幅に下がります。

項目 1年生存率 5年生存率
透析患者 51.9% 14.4%
非透析患者 75.4% 42.2%

当センターでは、フットケア従事者資格を持つスタッフ3名います。透析患者の足病変の予防・早期発見ができるように定期的にフットケアを実施しています。透析患者の足病変発生率0%を目指して、患者のセルフケアや病棟看護師と連携し、継続看護を実践しています。