循環器内科

    ご挨拶

    当科は2002年の八王子病院開院以来、八王子市の基幹的な循環器内科診療施設として診療を継続してきました。また地理的な関係上、近隣の日野、昭島、立川市、山梨県の上野原市、神奈川県の相模原市などの救急患者の受け入れも行って参りました。2009年からは現院長である小林教授が心臓病のメッカである日本医科大学より赴任し、不整脈治療分野が充実し、現在は日本でも屈指の施設に成長しております。現在、各スタッフの専門領域において活発な医療、研究の実践を日々行っております。冠動脈疾患に対するインターベンションの技術レベルは高く、国内外より見学者が来院しておりますし、また不整脈、心臓リハビリテーションも国内はもとより同領域の学会の牽引的施設として認められてきました。これらも、近隣の医療機関の先生方との御理解がなくてはなしえないことであります。これまでの当院への御協力、病診、病病連携に御礼申し上げますとともに、近隣諸先生方のご期待に応えられるよう邁診していく所存でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

    診療内容

    当診療科の主要な3本柱は1)狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の低侵襲治療、特に手首からの細い動脈からの冠動脈治療を提供し、負担軽減に努めています。またその診断においては冠動脈CTにより狭心症の疑われる症例に対して、低侵襲の検査を提供しています。2)不整脈に対する薬物、非薬物治療、特に各種薬物治療抵抗性の不整脈に対して3次元マッピングシステムを用いたカテーテルアブレーションと心房細動に対する同治療も積極的に行い、将来発症する可能性のある脳梗塞などの血栓塞栓症の予防につなげるよう尽力しています。またペースメーカ、植え込み型除細動器の治療も積極的に行っています。3)急性心筋梗塞後などの心不全に対するリハビリーションで包括的に入院~退院後まで管理し、退院後のクオリティーを維持するよう努力しています。

    アブレーション
    臨床工学士スタッフ

    主な対象疾患

    虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)とその治療

    カテーテル治療:心臓自体を栄養する冠動脈の動脈硬化による狭窄で労作時などに胸に痛みを感じる狭心症、また動脈硬化した部位が閉塞し突然の胸痛を感じる心筋梗塞に対して、手または鼠径部(足の付け根)からカテーテル(細いストローような管)を挿入し、冠動脈入口部に留置し、カテーテルの内腔に細いワイヤー挿入し、病変部を通過させてその後にバルーン(風船)を病変部へ誘導し、膨らませて血流の改善を計り、最終的にステントという金属性の編み目上の筒を留置する治療を行います。
    前記しました通り当施設では、なるべく径の細いカテーテルを使用し、低侵襲での治療を目指しております。多数の冠動脈に狭窄、閉塞が認められるような場合には、心臓血管外科にてバイパス手術を施行することもあります。

    心臓リハビリテーション

    心筋梗塞等の心血管疾患などで心臓自体の収縮力が弱まった状態の方を対象に、心臓リハビリテーションを行っております。このリハビリテーションは入院中のみならず、退院後も一定期間行われ、心不全による再入院率の低下や今後の心筋梗塞再発予防、また心筋梗塞後の予後の改善につながっております。また退院後の生活習慣などもリハビリテーション外来にて指導しております。

    深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症

    さまざまな要因で下肢の静脈内に血栓が生じた状態を深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群などと同じ状態)、その血栓が移動して、心臓を経由して肺の血管を閉塞させる病気を肺血栓塞栓症と呼びます。下肢のむくみなどの症状のみの方から、突然の呼吸困難をおこしてしまう様な方まで症状や重症度は様々です。血栓に対しては、薬物治療による血栓溶解療法を行います。大きな移動しやすい下肢静脈血栓で、肺血栓塞栓症を生じる可能性が高いような場合には、下大静脈フィルターといって血栓が移動してもこのフィルターに引っかかり肺の血管に移動しないようにする治療法を一時的に行うこともあります。

    不整脈の薬物・非薬物治療

    期外収縮:

    脈が跳ぶなどの症状は期外収縮といって心臓内の本来の電気発生部位以外からの異常電気興奮で起こる現象です。加齢にともない増加する傾向がありますが、自覚症状は個人間で差が大きく、全く症状を感じにくい方から、少しでも生じると感じてしまう方まで幅広いものです。頻度や症状に応じて治療内容は異なります。

    頻脈:

    突然ドキドキする症状が出現して、持続してしまう状態です。頻脈を生じるメカニズムは多種ですが、ドキドキの状態とは心臓の拍動数が多い状態であり、この状態は改善させる必要があります。心拍数が増えすぎてしまうと、血圧が低下して意識を失うこともあります。薬物治療では不整脈を停止させ、その発生を抑制する治療が行われます。しかし、薬物治療では限界があり、完全に抑制させることは出来ません。 我々の病院では原因となる不整脈に対して今後発生させなくするように、足の付け根からカテーテルという管を心臓内に入れて、原因となる不整脈の回路、異常興奮起源を検索して焼灼する”カテーテルアブレーション”による根治療法を積極的に行っています。
    突然死をおこすような不整脈に対しては、植込み型除細動器(ICD)といってペースメーカよりやや大きい機械を皮下に植え込んで不整脈を24時間、365日絶え間なく監視し、不整脈発症時には直ちに機械からの電気刺激またはショックで停止させます。

    心房細動/粗動:

    人口の高齢化に伴いこの不整脈の患者さんは増えています。この不整脈で問題となるのはドキドキすると感じる自覚症状以外に、心臓の中に血栓という血のかたまりを生じさせて、それが血流にのって全身のどこかの血管を詰まらせてしまう病気です。一般的に知られているのが脳梗塞です。まずは、血栓という血のかたまりが出来なくするような薬物治療を行います。また心房細動は一般的には心拍数(脈拍)が増える状態であり、長時間持続すると心臓の収縮力が低下して心不全という状態を生じることもあります。抗不整脈薬にて適切に管理することも重要ですが、長期的には心房細動を抑えられなくなります。
    これに対し、当院ではカテーテルアブレーションによる心房細動を発生させる部位(多くは肺静脈内に起源があります)を焼灼する治療を積極的に行っています。また、長期に持続した心房細動では一回のみアブレーションによる正常心拍の維持率は低くなりますが、複数回のアブレーションにより正常心拍の維持率は高くなります。なるべく発作性(心房細動が出現、停止を繰り返している様な状態)のうちに治療を行うと治療効果が高いので、早めのアブレーションでの根治をされるとよいでしょう。当院では、左心房にある自律神経叢を焼灼するアブレーションを積極的に行い良好な成績を収めております。また近年は冷凍凝固バルーン(図)によるアブレーションも行っております。
    この冷凍凝固アブレーションによるメリットは比較的短時間で治療が完了し、再発抑制率も高周波アブレーションとほぼ同等である点です。当施設は都内5位の治療実績を有しております。又、最近は都内でレーザーバルーンアブレーション(最新アブレーション治療)を行う数少ない施設の一つです。

    徐脈:

    脈が遅く、めまいやふらつき、ひどいときには意識を失う状態になるような状態ではペースメーカといって皮下に箱形の機械を植え込み、心臓へはリードと呼ばれる電線を挿入して機械と接続し、ペースメーカからの電機刺激で心拍を維持するようにする治療です。以前はICDやペースメーカを植え込んだ方は核磁気共鳴装置(MRI)の撮像は不可能でしたが、最近は対応機器がほとんどです。MRI対応機種を植え込んだとしても、植込み施設でMRIが撮影出来ないことは珍しくはありません。当院ではMRI撮像スタッフを備えております(但し、緊急MRI対応は行いません)。

    主な診療実績

    1)2018年度の心臓カテーテル検査総数は825件、うち321件は経皮的冠動脈形成およびステント留置術などの冠動脈インターベンション。
    2)2018年度の心臓電気生理学的検査総数は197件、うち192件はカテーテルアブレーション。(心房細動に対するアブレーション146件)
    3)2018年度のペースメーカー植込み術は57件(新規47件)、植込み型除細動器
    (ICD)および両室ペーシング機能付き除細動器(CRTD)の植込みは30件(新規16件)。

    医師一覧

    医師名 小林 義典 (こばやし よしのり)
    身分 教授、病院長
    専門分野 不整脈の薬物、非薬物治療
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本内科学会認定医、ICD / CRT 研修修了
    医師名 森田 典成 (もりた のりしげ)
    身分 准教授
    専門分野 不整脈、カテーテルアブレーション、デバイス植込み
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本内科学会総合内科専門医、ICD / CRT 研修修了
    医師名 吉町 文暢 (よしまち ふみのぶ)
    身分 准教授
    専門分野 虚血性心疾患、冠動脈インターベンション
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本心血管インタべ―ション治療学会専門医
    医師名 上野 亮 (うえの あきら)
    身分 講師
    専門分野 不整脈、カテーテルアブレーション、デバイス植込み
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本内科学会総合内科専門医、ICD / CRT 研修修了
    医師名 牛島 明子 (うしじま あきこ)
    身分 助教
    専門分野 心不全、心臓リハビリテーション、冠動脈CT、経食道超音波検査
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本心臓リハビリテーション指導医
    医師名 河村 洋太 (かわむら ようた)
    身分 講師
    専門分野 虚血性心疾患、冠動脈インターベンション
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定医、、日本心血管カテー テル治療学会指導医、日本心血管インタべ―ション治療学会指導医
    医師名 飯田 剛幸 (いいだ たかゆき)
    身分 助教
    専門分野 不整脈、カテーテルアブレーション、デバイス植込み
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本内科学会総合内科専門医
    医師名 濵 知明 (はま ともあき)
    身分 助教
    専門分野 虚血性心疾患、心臓リハビリテーション、冠動脈インターベンション
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本心臓リハビリテーション指導医
    医師名 山本 良也 (やまもと よしや)
    身分 助教
    専門分野 虚血性心疾患、冠動脈インターベンション
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医
    医師名 長松 裕史 (ながまつ ひろふみ)
    身分 助教
    専門分野 虚血性心疾患、心臓リハビリテーション
    専門医・認定医 日本内科学会認定医
    医師名 七尾 富久 (ななお とみひさ)
    身分 助教
    専門分野 不整脈、カテーテルアブレーション、デバイス植込み

    専門医・認定医 日本内科学会認定医
    医師名 唐澤 由香 (からさわ ゆか)
    身分 臨床助手
    専門分野 循環器一般、虚血性心疾患
    専門医・認定医 日本内科学会認定医
    医師名 室谷 奈那 (むろたに なな)
    身分 臨床助手
    専門分野 循環器一般、虚血性心疾患
    医師名 盛 英三 (もり えいぞう)
    身分 非常勤医師
    専門分野 心不全
    専門医・認定医 日本内科学会認定医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本老年医学会指導医
    医師名 山本 明日香 (やまもと あすか)
    身分 非常勤医師
    専門分野 循環器一般
    専門医・認定医 日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医
    医師名 工藤 丈明 (くどう たけあき)
    身分 非常勤医師
    専門分野 虚血性心疾患、冠動脈インターベンション
    専門医・認定医 日本内科学会認定医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心血管治療学会認定医

    診療担当表

     
    午前 牛島 明子
    山本 明日香
    小林 義典
    森田 典成
    上野 亮
    飯田 剛幸
    吉町 文暢
    濵 知明
    山本 良也
    長松 裕史
    河村 洋太
    山本 明日香
    小林 義典
    七尾 富久
    唐澤 由香
    盛 英三(3)
    当番医
    午後 牛島 明子 小林 義典
    森田 典成
    上野 亮
    飯田 剛幸
    吉町 文暢
    濵 知明
    山本 良也
    長松 裕史
    河村 洋太 小林 義典
    七尾 富久
    唐澤 由香
    盛 英三(3)
    当番医
    吉岡 公一郎
    月1回で不定期
    (完全予約制)
    専門外来 午前 【心リハ外来】
    山本 明日香
    【心リハ外来】
    牛島 明子
    【心リハ外来】
    濵 知明
    専門外来 午後 【ペースメーカー外来】
    上野 亮
    【狭心症外来】
    【閉塞性動脈硬化症外来】
    吉町 文暢
    【狭心症外来】
    【閉塞性動脈硬化症外来】
    河村 洋太

    研究

    現在行っている研究

    1)心房細動症例におけるアブレーション周術期の適切抗凝固療法の検討
    2)心房細動アブレーションにおける自律神経修飾術の効果の検討
    3)植え込み型除細動器植込み症例での心室頻拍、心室細動頻回出現時の症例臨床的背景の検討
    4)心房細動アブレーション周術期の抗不整脈薬の使用状況と予後調査
    5)心房細動アブレーション治療に関する全国調査(J-AB)
    6)心房細動患者さんの実態調査(APHRS)
    7)高齢心房細動患者さんの実態調査

    研究ご協力のお願い

    当院では現在の目覚しい医療レベル(診断、技術法)の進歩する中、国内外での学会主催などを含めました他施設共同試験、治験に参画しております。これらにより、将来の医療界の発展のみならず、御参加頂きました患者様の心臓疾患の治療にも、直近とまではいえませんが近い将来恩恵を受けられることにつながります。各種治験、試験へ当該する患者さまには当院医師から御参加をお願いすることもあろうかと存じます。その際は、ぜひ試験、治験等の御趣旨を御理解頂きまして、何卒ご参加頂ければと存じます。