小児外科

    ご挨拶

    この度は当診療科HPをご覧頂きまして誠に有難うございます。当院は、都立八王子小児病院廃止に伴って消え失せかけた小児外科診療の灯を絶やすまいとの使命感から2009年4月に新設された八王子市で唯一の手術・入院可能な小児外科施設です。

    診療内容

    当科は都立八王子小児病院の統合に伴う小児外科の八王子からの撤退に合わせ、地域医療にかかわるべく開設されました。指導医1名、専門医1名の2名体制で診療に従事しており、また日本小児外科学会から関連認定施設として認可を得て、年間約 300例の手術・検査を行っています。
    小児外科疾患で最も多い鼠径ヘルニア、手術を要する急性疾患で最多の虫垂炎を中心に腹腔鏡下手術を積極的に取り入れ、こどもにかかる負担をできるだけ軽減する手術を目指しています。その他、停留精巣・遊走精巣・包茎・陰嚢水腫・急性陰嚢・精索静脈瘤などの泌尿器疾患、臍ヘルニア、耳瘻孔、舌小帯短縮症、リンパ管腫、乳児痔瘻、卵巣腫瘍、陰唇癒合など臓器にとらわれることなく幅広く対応しています。もちろん腸重積症、幽門狭窄症、総胆管拡張症・神経芽腫など小児外科代表疾患はもとより、小児腹部外傷・熱傷・固形異物誤飲の診療にも当たります。一方、内科的治療を要するような潰瘍性大腸炎やクローン病も当科で診療、ヒルシュスプルング病が紛れることのある小児便秘については専用枠(木曜日午後)を設け、 漢方薬を加えた診療を行っています。
    当院小児外科では、外来でよく遭遇する小児外科疾患を主として、 唯一八王子で小児外科入院加療のできる施設です。近隣の先生方には引き続きよろしくお願い申し上げます。

    主な対象疾患

    15才(中学生)以下の小児外科疾患全般の診療に当たっています。診療の対象疾患は、頻度の多い鼡径ヘルニア、急性虫垂炎、腸重積の他、出生直後から発症する消化器疾患、摘出を要する小児がん、陰茎・陰嚢・精巣・卵巣などの泌尿・生殖器疾患、腹部外傷、熱傷、異物誤飲など多岐にわたっています。

    舌小帯短縮症

    舌小帯短縮症とは

    舌の裏側には「舌小帯(ぜつしょうたい)」という膜があります。
    この舌小帯が生まれつき短かったり、舌の先に近い位置に付いている形成異常を舌小帯短縮症と呼びます。
    舌の動きが制限されるため、成長の段階で以下の様なさまざまな困りごとがみられることがあります。

    哺乳不良/体重増加不良

     乳房への吸いつきが浅いためにしっかり飲めない結果、体重が増えません。

    乳頭痛・乳腺炎

     吸いつきが弱いために歯茎で乳首を噛んでしまったり、吸う力が弱いことで母乳が鬱滞し、乳頭痛や乳腺炎を起こします。

    摂食障害

     硬いものや大きいものを奥歯へうまく運ぶことができないことで、飲み込む癖がついてしまうことがあります。

    構音障害

     舌の動きが制限されることで「舌足らず」になり、下記のような言葉が言いにくいことがあります。

     (例) 
          ら行:ラッパ、リンゴ、レモン
        た行:たぬき、テレビ、とんぼ
          さ行:さかな、しんかんせん、シンデレラ
          か行:おおきい、キリン、きかんしゃ

    手術

    舌の動きを制限している舌小帯を切開・形成し、動きを改善する手術です。手術は短時間で終わり、年齢や状態により方法が異なります。

    <1歳未満の場合>

    日帰り入院で行います。舌小帯に表面麻酔を塗り、切開を行います。切開の時間自体は数分で終わります。処置後30分ほどで授乳を再開し、出血や麻酔薬によるアレルギー反応がなければそのまま帰宅いただけます。

    <1歳以上の場合>

    1歳を過ぎたお子さまでは、動いてしまうため局所麻酔での手術が難しい場合が多く、全身麻酔 での手術を行います。この場合は 2泊3日の入院 が必要です。創部は必要に応じて吸収糸(自然に溶ける糸)で縫合します。

    手術の適応や時期は、お子さまの月齢・性格・体格・症状の程度 などを総合的に判断し、外来でご家族と相談して決定します。

    術後

    手術1週後に傷口の経過を外来で診察し、1か月後の診察で傷口が問題なく、症状改善あれば診察は終了となります。

    上唇小帯短縮症

    お子さまの状況に応じて、舌小帯短縮症と合わせて上唇小帯短縮症の手術も行っております。ご相談ください。

    当院では舌小帯短縮症を多数手術されており、論文・著書を多数執筆されている伊藤泰雄先生(杏林大学医学部名誉教授)のご指導をいただき診療を行っております。

     

    LPEC法

    臍の中央に3mmの切開を加え3mmのカメラを挿入し、2mmの鉗子用のポートと鼠径部から約2mmの切開で特殊な針を挿入し、内鼡径輪より高位で腹膜を縫縮してくる術式です。麻酔方法や術後管理などは従来法と変わりありません。

    実際の写真です、おへその中からカメラを挿入しています。術直後の傷ですが、一番大きいカメラの傷はおへその中に隠れて目立たなくなっています。

    腹腔鏡下虫垂切除術

    Interval appendectomy 急性期は抗生剤にて保存的加療を行い、2か月以上おいて、予定手術で腹腔鏡下虫垂切除術を行う。

    よくある質問

    質問 ももの付け根のあたりが腫れているのですが?
    回答 小児外科疾患の中でもっとも多く、手術が必要なソケイヘルニア(俗に脱腸と言われています)かもしれません。当院では腹腔鏡手術を導入しております。なお、来院時、出ていた時の写真を持参して頂けると助かります。
    質問 右下腹痛を訴えています。虫垂炎(俗にもうちょうと言われています)が心配です。
    回答 急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)は、小児のお腹の病気で最も多く、特に小学生以上に多く発生し手術が必要です。
    典型的には、みぞおちやオヘソの回りの痛みが徐々に右下腹部に移って持続し、同時に食欲低下・発熱(初期は37度台)・吐き気が見られます。通常、下痢を伴いません。当院では腹腔鏡手術も導入しております。
    質問 お金を飲み込んでしまいました!
    回答 乳幼児は、お金に限らず画鋲など尖った物でも、お口に入るものは何でも入れてしまいます。レントゲンで位置を確認し、取り除くか便と一緒に排泄されるかの判断が必要です。
    質問 普通だった赤ちゃんの機嫌が悪いままです。
    回答 1歳前の赤ちゃんに多い、腸重積(ちょうじゅうせき)が心配です。症状には間歇的(症状が出たり出なかったりを繰り返す)腹痛もしくは不機嫌や血便があります。直ちに診断治療が必要です。

    主な診療実績

    ●急性虫垂炎に対する腹腔鏡手術 ●鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術 ●臍ヘルニアに対する臍形成術 ●停留精巣に対する陰嚢手術 ●遊走精巣術後の推移 ●小児腹腔鏡手術 ●術前経口補水液の有効性 ●真性包茎術 ●観血的整復術 腸重積症  ●小児便秘と漢方治療 ●ヒルシュスプルング病とその類縁疾患手術 ●小児救急外科疾患への対応法 ●小児熱傷 ●精索静脈瘤に対する腹腔鏡手術

    医師一覧

    医師名 鄭 英里 (てい えり)
    身分 臨床准教授・医長
    専門分野 小児外科
    専門領域 小児泌尿器疾患 低侵襲内視鏡外科
    専門医・認定医 日本小児外科学会専門医、日本外科学会専門医
    医師名 小松崎 尚子(こまつざき なおこ)
    身分 助教
    専門分野 小児外科
    専門医・認定医 日本小児外科学会専門医、日本外科学会専門医
    医師名 浅見 愛乃(あさみ よしの)
    身分 臨床助手
    専門分野 小児外科
    医師名 平川 均(ひらかわ ひとし)
    身分 非常勤医師
    専門分野 小児外科
    専門領域 小児外科全般 ヒルシュスプルング病と類縁疾患
    専門医・認定医 日本小児外科学会評議員・専門医・指導医、日本小児救急医学会代議員、日本外科学会専門医

    診療担当表

     
    午前 鄭 英里 輪番
    (緊急のみ)
    小松崎 尚子 輪番
    (緊急のみ)
    小松崎 尚子 平川 均
    鄭 英里
    小松崎 尚子
    午後 鄭 英里
    (予約のみ)
    鄭 英里
    (予約のみ)
    鄭 英里
    (予約のみ)

    研究

    • 急性虫垂炎に対する緊急手術と待機手術のメリット・デメリット
    • 鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術手技の追求
    • 臍ヘルニアに対する臍形成術の工夫
    • 停留精巣に対する陰嚢アプローチの適応
    • 遊走精巣術後の精巣の大きさと位置の推移
    • 腹腔鏡手術の小児外科疾患への適応拡大
    • 術前経口補水液の有効性
    • 真性包茎に対する的確な包皮の切除範囲
    • 観血的整復術に到った腸重積症について
    • 小児便秘と漢方治療
    • ヒルシュスプルング病とその類縁疾患に対する病態研究
    • 小児救急外科疾患への効率的対応法
    • 小児熱傷への的確な創傷管理