消化器内科

    ご挨拶

    大学病院として高度で専門的医療を行うとともに、地域の中核病院としての役割を担うため、積極的かつ迅速な外来診断・入院治療に取り組んでおります。消化管、肝・胆・膵疾患の専門医が先端的かつ専門的な医療を提供しています。特に早期癌の診断と治療に力を注ぎ、早期胃癌、大腸癌の内視鏡治療や肝癌に対するラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術を積極的に行っています。消化器センターとして消化器内科、外科の協力体制が整っており、手術症例では消化器外科との密接な連携の下に診断、治療が進められています。「医療はサービス」という精神で、地域の医療に貢献していきたいと考えています。

    診療内容

    消化器内科は、上部消化管、下部消化管、肝疾患、胆膵疾患など対象患者さんが多く、きわめて専門性の高い領域です。内視鏡的手術(内視鏡的止血術、内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜下層剥離術、内視鏡的胆道ドレナージ術、内視鏡的採石・砕石術など)やラジオ波焼術あるいは免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などを用いて、多岐にわたる診療をしています。また、消化器疾患は非代償性肝硬変、重症型膵炎、胆嚢炎、急性肝不全・劇症肝炎、炎症性腸疾患などの全身管理を要する症例が多いため、科の枠を超えた総合的な診断・治療を行っています。

    主な対象疾患

    月曜~土曜(第2・4・5 土曜日)まで、内視鏡センターで上部内視鏡検査を行っています。熟練したスタッフにより、質の高い、苦痛の少ない検査を提供しています。ご希望により鎮静剤を投与したり、特殊な場合には経鼻内視鏡を使用したりしています。消化管(食道、胃、大腸)の早期癌、進行癌、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患、下痢や便秘を生ずる IBS(過敏性腸症候群)、GERD(胃食道逆流症)、FD(機能性 dyspepsia)、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、胆道・膵疾患に対して最適の治療(内視鏡的手術、化学療法、放射線治療)を提供しています。特に、ウイルス性肝炎に対しては、内服治療を主として、積極的に取り組んでいます。

    大腸ESD

    上部直腸に粗大な結節を伴う半周正の結節集簇病変が認められた。Dualナイフにて全周切開後剥離を行い、一括切除にてESDを完了した。切除切片は65×60mm大で、病理学的には深達度mの腺腫内癌であった。垂直断端、水平断端ともに陰性で治療切除であった。

    胃ESD

    胃前庭部前壁を中心に大弯から小彎にまたがる2/3周性のⅠⅠa病変が認められる。中心部に瘢痕狭窄を伴い、経過中の瘢痕形成が推測される。切除標本は92×50mm大、病変サイズ40×30mm大の0-ⅠⅠa病変で、深達度mの高分化型腺癌であった。色素散布後、IT-2ナイフを用い全周切開を行い、一括切除にてESDを終了した。本例では5か月後に術後の瘢痕狭窄を生じたが、TTSバルーン拡張1回とデカドロンの局注により、通過は改善・維持されている。

     

    主な診療実績

    2022年度の年間検査件数は、上部消化管内視鏡検査 7707 件、下部消化管内視鏡検査 2447 件、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP、総胆管結石採石等)468 件、内視鏡的ポリープ切除術 989(内CSP644) 件、内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) 上部 96 件、下部76件、内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL)28人、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(ELS)12人でした。肺癌に対してラジオ波焼約療法(RFA)8件、カテーテル治療数20件でした。COVID-19 に対して十分な感染対策をして検査・治療をしています。

    医師一覧

    医師名 鈴木 孝良 (すずき たかよし)
    身分 教授、副院長
    専門分野 消化管疾患
    専門領域 食道・胃・大腸疾患の診断・治療、消化管悪性腫瘍、消化性潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症、炎症性腸疾患、粘膜切除術(EMR)、粘膜下層剥離術(ESD)、小腸疾患、小腸バルーン内視鏡
    専門医・認定医 日本内科学会指導医・認定医、日本消化器病学会指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本消化管学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医
    医師名 伊藤 裕幸(いとう ひろゆき)
    身分 臨床准教授
    専門分野 胆膵疾患の診断・治療
    専門領域 胆膵疾患(膵癌・胆管癌・胆嚢癌、急性・慢性膵炎、胆石・総胆管結石、自己免疫性疾患など)
    専門医・認定医 日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医、暫定指導医、日本消化管学会認定医・指導医、日本膵臓学会指導医、日本胆道学会指導医
    医師名 広瀬 俊治 (ひろせ しゅんじ)
    身分 講師
    専門分野 肝疾患全般
    専門領域 肝臓癌化学療法、ウイルス性肝炎、食道静脈瘤治療、肝癌局所療法、肝不全管理、急性肝不全管理
    専門医・認定医 日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、総合内科専門医
    医師名 永田 順子(ながた じゅんこ)
    身分 講師
    専門分野 消化器全般
    専門領域 消化管疾患の診断と治療・悪性腫瘍の内視鏡治療、炎症性腸疾患の診療
    専門医・認定医 日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会暫定指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本医師会認定産業医
    医師名 津田 真吾 (つだ しんご)
    身分 講師
    専門分野 消化管疾患
    専門領域 消化管疾患の診断と治療、悪性腫瘍の内視鏡治療、炎症性腸疾患の診療
    専門医・認定医 日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医
    医師名 伊藤 彩乃(いとう あやの)
    身分 助教
    専門分野 胆膵疾患の診断・治療
    専門領域 胆膵疾患
    医師名 張 つぼみ (ちょう つぼみ)
    身分 助教
    専門領域 消化器内科領域全般
    医師名 小村 侑司(おむら ゆうじ)
    身分 臨床助手
    専門分野 消化器内科領域全般
    医師名 山口 徹 (やまぐち とおる)
    身分 助教
    医師名 田澤 遥介 (たざわ ようすけ)
    身分 臨床助手
    医師名 渡辺 勲史 (わたなべ のりひと)
    身分 名誉教授
    専門分野 肝胆膵疾患
    専門領域 慢性肝炎、肝硬変、肝癌の診断と治療、門脈圧亢進症の病態・診断・内視鏡・IVR治療、黄疸の病態と診断(自己免疫性、薬物性肝障害)、脂肪肝と生活習慣病、胆膵の良性・悪性疾患の診断と治療
    専門医・認定医 日本内科学会指導医・認定医、日本消化器病学会指導医・専門医、日本肝臓学会指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会専門医
    医師名 小嶋 清一郎 (こじま せいいちろう)
    身分 客員准教授
    専門分野 肝胆膵疾患
    専門領域 慢性肝炎、肝硬変、肝癌の診断と治療、肝腫瘍に対するラジオ波焼灼術、門脈圧亢進症の病態・診断、脂肪肝と生活習慣病
    専門医・認定医 日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・関東支部評議員、日本肝臓学会専門医・東部会評議員、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本門脈圧亢進症学会評議員・学術委員・編集委員・技術認定取得医、日本膵臓学会認定指導医、日本胆道学会認定指導医、日本アルコール・アディクション医学会代議員、日本消化管学会胃腸科専門医・認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本抗加齢医学会専門医、日本ヘリコバクター学会認定医

    診療担当表

     
    午前 鈴木 孝良
    津田 真吾
    永田 順子
    鈴木 孝良
    永田 順子
    広瀬 俊治
    渡辺 勲史
    伊藤 裕幸
    山口 徹
    広瀬 俊治
    伊藤 裕幸
    小嶋 清一郎
    津田 真吾
    張 つぼみ
    伊藤 彩乃
    山口 徹
    張 つぼみ
    伊藤 彩乃
    白井 孝之
    (2)(再診のみ)
    午後 鈴木 孝良
    津田 真吾
    永田 順子
    鈴木 孝良
    永田 順子
    広瀬 俊治
    伊藤 裕幸
    山口 徹
    広瀬 俊治
    伊藤 裕幸
    小嶋 清一郎
    津田 真吾
    張 つぼみ
    伊藤 彩乃
    専門外来 午後 【消化管疾患】
    永田 順子
    【炎症性腸疾患】
    鈴木 孝良
    【胆膵疾患】
    伊藤 裕幸
    【肝疾患】
    広瀬 俊治
    【消化管疾患】
    津田 真吾

    研究

    実施中の臨床研究

    • ・非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)と門脈圧亢進症の関連についての病理学的検討
    • ・発症年代の違いによる高齢者潰瘍性大腸炎患者の臨床経過の比較検討に関する後ろ向き研究
    • ・日本人炎症性腸疾患患者におけるCOVID-19感染者の多施設共同レジリスト研究 (Japan COVID-19 surveillance in inflammatory bowel disease : J-COSMOS)
    • ・寛解期潰瘍性大腸炎患者に合併する過敏性腸症候群における内視鏡検査による大腸蠕動運動の評価
    • ・炎症性腸疾患における新規免疫調節薬の有効性の検討
    • ・潰瘍性大腸炎、クローン病、関節症性乾癬患者におけるアダリムマブバイオシミラーFKBの有効性および安全性:FKB327 レジストリー研究
    • ・健診受診者を対象とした膵嚢胞の家族歴の検討
    • ・虚血性腸炎の重症化にかかわるリスク因子の検討
    • ・超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA)検体採取におけるwet and slow pull法(静水圧暖除吸引法)の有用性の検討