耳鼻咽喉科・頭頸部外科

    診療内容

       耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、「耳」「鼻」「のど」の比較的狭い領域を担当する診療科と考えられがちですが、実際は首から上で脳神経科が担当する脳と脊髄、眼科が担当する眼球、歯科が担当する歯・歯肉を除く頭部、頸部の広範囲にわたる領域を担当しています。

     また、風邪や鼻炎、鼻出血、中耳炎、めまいなど、どなたでも一度は経験したことのあるような疾患から、聴力改善手術など専門性の高い診療まで、幅広い診療内容を特徴としています。

     聴覚・嗅覚・味覚・平衡感覚などを扱う感覚器のエキスパートとして、患者さまの不安を取り除き、生活の質(QOL)の維持・向上させられるように心掛けております。

    主な対象疾患

    1.耳疾患に対する診断治療

     難聴、めまい、中耳炎、顔面神経麻痺など様々な疾患に対応しており、各種聴覚検査、CT、MRI検査などを組み合わせ、原因、重症度の評価診断を行います。

     突発性難聴、めまいでは外来での投薬が基本ですが、重症例では入院治療を行います。

     慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、保存的治療で改善が難しい滲出性中耳炎に対して、手術(鼓室形成術、鼓膜チューブ挿入術)を積極的に行います。一般的な鼓室形成術では、全身麻酔下に手術を行い、入院期間は1週間程度です。慢性中耳炎、比較的限局した中耳真珠腫では、不必要な骨削開を避け、低侵襲な手術をめざしています。手術後の再発や病気が広く進展している場合、多数の既往症をもつ患者さんに対しても、院内他科と連携し、積極的に手術を行います。また、単純性鼓膜穿孔に対しては、日帰りの鼓膜閉鎖術も行っています。

     顔面神経麻痺では初期治療として高用量のステロイド治療を行います。重症例では入院にて行い、電気生理学的検査で予後診断を行います。予後不良例と判断される例では顔面神経減荷術を行うこともあります。初期治療後に後遺症が残ってしまった例では、症状が軽減できるように後遺症治療を行います。

    2.鼻・副鼻腔疾患にに対する診断治療

     鼻副鼻腔疾患に対し、経鼻内視鏡、副鼻腔CT・MRIを使用し、多角的に診療を行います。保存的治療で改善が難しい慢性副鼻腔炎や難聴指定の好酸球性副鼻腔炎、副鼻腔嚢胞に対しては、内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS)を行っています。手術は4K技術搭載の内視鏡システムとナビゲーションシステムを併用しており、より安全に、低侵襲に行うことが可能です。鼻中隔弯曲症に対する鼻中隔矯正術、アレルギー性鼻炎に対する下甲介手術や日帰りの鼻粘膜レーザー焼灼術なども行っています。一般的な鼻手術では全身麻酔下に手術を行い、入院期間は5~6日です。

     好酸球性副鼻腔炎に対するデュピルマブ(デュピクセント®)、アレルギー性鼻炎に対するオマリズマブ(ゾレア®)、舌下免疫療法も行っています。

    3.咽頭、喉頭疾患に対する診断治療

     急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍など、のどの炎症が高度で、食事摂取が困難な例では入院加療を行っています。扁桃周囲膿瘍では切開術で排膿を促し、早期治癒を目指します。扁桃(炎を繰り返す例や、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす扁桃肥大例では口蓋扁桃摘出術を行います。小児の睡眠時無呼吸症候群ではアデノイド切除術も併施することがあります。

     声帯ポリープや声帯結節などの良性疾患に対しては手術治療(喉頭微細手術)をおこなっています。

    4.頸部疾患に対する診断治療

     甲状腺腫瘍、耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍、正中頸のう胞、側頸のう胞、頸部リンパ節腫脹、神経鞘腫など、さまざまな疾患に対して、超音波検査、CT、MRI、穿刺吸引細胞診を行い、診断します。手術が必要な例では摘出手術を行います。癌など悪性を疑う例では、早期に確定診断のための検査を行いますが、悪性疾患の治療は、頭頸部癌治療の専門施設に紹介とさせていただく場合があります。

     

    主な診療実績

    【手術実績 2024年度】

     手術件数 554例(局所麻酔手術を含む)

    ◎代表的な手術の件数

    ◆耳科手術

     ・鼓室形成術 13例  

     ・鼓膜穿孔閉鎖 5例  

     ・鼓膜チューブ挿入術 35例

    ・先天性耳瘻管摘出術 4例

    ◆鼻科手術

     ・内視鏡下鼻・副鼻腔手術 61例

     ・鼻中隔矯正術 44例

     ・下甲介手術 60例

     ・鼻副鼻腔腫瘍摘出術 7例

     ・下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術 4例

    ◆咽頭、喉頭手術

     ・口蓋扁桃摘出術 110例

     ・アデノイド切除術 30例

     ・喉頭微細手術 7例

     ・扁桃周囲膿瘍切開術 19例

    ◆頸部手術

     ・耳下腺腫瘍摘出術 5例

     ・顎下腺摘出術 8例

     ・甲状腺悪性腫瘍手術 4例

     ・気管切開術 10例

     ・リンパ節生検 13例

    医師一覧

    医師名 小田桐 恭子(おだぎり きょうこ)
    身分 講師、医長
    専門分野 耳鼻咽喉科全般
    専門領域 中耳炎、顔面神経麻痺、難聴
    専門医・認定医 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会専門医、日本耳科学会認定医、日本顔面神経学会認定顔面神経麻痺相談医、身体障害者福祉法15条指定医
    医師名 山本 光 (やまもと ひかる)
    身分 助教
    専門分野 耳鼻咽喉科学全般
    専門医・認定医 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会専門医、身体障害者福祉法第15条指定医、難病指定医、補聴器相談医
    医師名 芦田 裕士(あしだ ひろし)
    身分 助教
    専門分野 耳鼻咽喉科全般

    診療担当表

     
    午前 小田桐 恭子
    山本 光
    小田桐 恭子 小田桐 恭子
    芦田 裕士
    山本 光
    芦田 裕士

    山本 光
    輪番
    専門外来 午後 小田桐 恭子(1・3)
    山本 光
    小田桐 恭子
    芦田 裕士
    【補聴器外来】(2・4)
    【音声外来】(2・4)