神経内科

    ご挨拶

    東京都西部の中核都市である八王子市の人口は58万人で、南多摩医療圏全体を含めると約140万人の人口を擁します。当院はその中の急性期基幹病院のひとつで(2016年度DPC医療機関別係数 1.3487、Ⅲ群のなかでは上位)、450床、全30の外来診療科を有する総合病院です。当科では、神経内科領域の幅広い疾患を扱っていますが、特に脳血管障害については力を入れており、脳神経外科と協力して、超急性期の血栓溶解療法や血管内治療などの最新の治療を行っています。また、パーキンソン病などの神経変性疾患、神経免疫疾患、片頭痛(頭痛センター)についても、先進的な診療を行っています。

    診療内容

    神経内科は、脳、脊髄、末梢神経、筋肉など、神経に関わるさまざまな病気を扱う診療科です。そのなかには、脳卒中、けいれん発作、脳炎・髄膜炎、ギラン・バレー症候群などの救急診療を必要とする疾患のほか、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多発性硬化症、重症筋無力症などの神経免疫疾患、あるいは頭痛、めまいなど日常よく遭遇する疾患も含まれます。主な検査としては、頭部CT・MRI、頸動脈エコー検査のほか、髄液検査、神経伝導速度検査、針筋電図、経食道心エコー検査、筋生検などがあります。

    特に、脳血管障害に関しては、脳神経外科、リハビリテーション科と緊密な連携を図っており(脳卒中センター)、伊勢原の本院と共に我が国の医療機関としての最高評価(トリプルA:日経メディカル調べ)を受けています。また、東京都脳卒中標準パスを用いて、地域の回復期、維持期病院と医療連携を行っています。さらに、当院は頭痛センターを標榜しており、片頭痛治療をはじめとする包括的な頭痛診療を行っています。近年、増加傾向にある認知症(アルツハイマー病、レビー小体型認知症など)については、地域の医療機関と連携を取りながら診療を行っています。このほか、片側顔面痙攣などに対するボトックス治療も行っています。

    主な対象疾患

    脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、髄膜炎や脳炎・脳症などの神経感染症、パーキンソン病や脊髄小脳変性症などの変性疾患、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの認知症疾患、多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などの脱髄疾患、てんかん、顔面けいれん、頭痛などの機能性疾患、その他にもALS、ミエロパチー、末梢神経障害、筋疾患など、神経内科領域の疾患全般を扱っています。

    主な診療実績

    ■八王子病院年間入院患者数:517 名(2017 年1 月~ 2017 年12 月)

    脳血管障害 261例(t-PA 38 例、血管内治療 33 例 を含む
    神経変性疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症など) 61例
    てんかん 36例
    神経感染症(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍) 18例
    多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMO)など 27例
    Guillain-Barre’症候群、CIDP 8例
    末梢神経障害(栄養欠乏症、中毒性、絞扼性など) 4例
    筋萎縮性側索硬化症 8例
    筋疾患(多発性筋炎) 3例
    重症筋無力症 8例
    その他 83例

    医師一覧

    医師名 野川 茂 (のがわ しげる)
    身分 教授、副院長
    専門分野 神経内科学一般
    専門領域 脳血管障害、パーキンソン病、頭痛
    専門医・認定医 日本内科学会指導医、総合内科専門医、日本神経学会代議員・指導医、神経内科専門医、日本脳卒中学会幹事・専門医、日本頭痛学会代議員・専門医、日本脳循環代謝学会理事、日本ニューロリハビリテーション学会理事、日本生活習慣病学会評議員
    医師名 徳岡 健太郎 (とくおか けんたろう)
    身分 講師
    専門分野 神経内科学一般
    専門領域 神経内科学一般、脳血管障害、頭痛、神経感染症
    専門医・認定医 日本内科学会内科認定医、日本神経学会神経内科専門医、日本脳卒中学会評議員・専門医、日本頭痛学会評議員・専門医、日本生活習慣病学会評議員
    医師名 安田 高志 (やすだ たかし)
    身分 講師
    医師名 陳 佑佳 (ちん ゆうか)
    身分 助教
    専門分野 神経内科学一般
    専門医・認定医 日本内科学会内科認定医
    医師名 黒川 幸子 (くろかわ さちこ)
    身分 臨床助手
    医師名 北川 泰久 (きたがわ やすひさ)
    身分 名誉顧問
    専門分野 神経内科学一般
    専門領域 脳血管障害の病態生理、危険因子、頭痛
    専門医・認定医 日本内科学会内科認定医、日本神経学会神経内科専門医、日本脳卒中学会名誉会員専門医、日本頭痛学会理事専門医、日本脳循環代謝学会名誉会員、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本生活習慣病学会理事

    診療担当表

     
    午前 徳岡 健太郎
    (初診)
    野川 茂
    (再診)
    陳 佑佳
    (初診)
    野川 茂
    (初診)
    安田 高志
    (再診)
    野川 茂
    (初診)
    徳岡 健太郎
    (再診)
    安田 高志
    (初診)
    陳 佑佳
    (再診)
    徳岡 健太郎
    (初診)
    交代制
    (徳岡/安田)
    (初診)
    午後 野川 茂
    (再診)
    安田 高志
    (再診)
    徳岡 健太郎
    (再診)
    専門外来 午前 【頭痛外来(3)】
    北川 泰久
    (再診)
    専門外来 午後 【頭痛外来】
    北川 泰久
    (再診)

    研究

    現在行っている研究

    当科では神経疾患を幅広く扱っていますが、特に脳血管障害については、超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法(約30例/年)や血管内治療による血栓除去術(約10例/年)などの最新の治療を行っており、これらに関する報告も行っています(阿部助教・陳助手)。最近の血管内治療のエビデンスを受けて、今後、脳卒中センターは、主に血栓溶解療法を行ういわゆる「一次脳卒中センター」と血管内治療や危険因子の管理・禁煙教育まで行う「包括的脳卒中センター」に細分化される可能性があります。当院では後者を目指し、脳血管内治療専門医の育成も視野に入れた体制づくりを行っています。また、外科系、婦人科系を含む総合病院であるメリットを生かして、近年増加している担癌患者における脳梗塞(トルーソー症候群)に関する臨床的研究を行っています(野川教授、陳助手)。このほか、もやもや病の頭痛(野川教授)、片頭痛治療薬(トリプタン)受容体と疼痛に関する東京薬科大との共同研究(徳岡講師)、片頭痛における大脳白質病変の研究(安田助教)、新規経口抗凝固薬(DOAC)と脳微小脳出血に関する本院との共同研究(CMB-NOW)などを行っています。また、パーキンソン病に関しては、順天堂大と共同開発した新たな自記式症状評価スケール「MASAC-PD31」を用いた、認知機能、嗅覚障害、レム睡眠行動障害などの非運動症状の共同研究(東京女子医大)を行っています。さらに、ギラン・バレー症候群における抗ガングリオシド抗体、NMOにおけるナルコレプシー、NMDAR脳炎などの神経免疫に関する臨床研究も行っています。

    北川特任教授は抗リン脂質抗体症候群による若年性脳梗塞の我が国の第一人者であり、臨床研究の指導を行っています。また、医局制度を廃止した東海大学ならではの特長を生かして、瀧澤教授(本院)を中心とした脳血管障害における再生医療の研究や吉井特任教授(大磯病院)を中心としたパーキンソン病研究など、他施設との共同研究にも、若手医師が積極的に参加できるような体制づくりを心掛けています。当院には治験管理科があり、ESUSに対するDOAC(NAVIGATE-ESUS)、片頭痛に対する抗ヒトCGRP受容体抗体、RESPECT, CSPS.comなど、数多くの治験にも参加しています。

    研究実績

    1. Nogawa S, et al. DWI-ASPECTS and NIHSS at baseline predict good recovery by mechanical endovascular thrombectomy after thrombolysis for acute ischemic stroke. 2nd ESO Conference. Barcelona, 2016.

    2. Yasuda T, et al. Characteristics of cerebral white matter lesions on MRI in juvenile patients with migraine. Tokai J Exp Clin Med, 2016 (in press).

    3. 阿部哲郎, 他.血清抗ガングリオシド抗体陽性GBS患者の初期重症度・IVIg反応性・予後に関する検討.第43回日本神経治療学会総会.名古屋,2015.

    4. Nogawa S, et al. Headache in Moyamoya disease ? Incidental or Characteristic? 7th Japanese-Korean Stroke Joint Stroke Conference. Busan, 2015.

    5. 飯嶋一侑樹, 他.脳深部病変で再発を繰り返したNMDAR脳炎の50歳男性例.第212回日本神経学会関東・甲信越地方会.東京,2015.

    6. Tokuoka K, et al. Theoretical analysis of headache recurrence in patients administ-ered triptans for migraine based on receptor occupancy. J Headache Pain 2015.

    7. Tokuoka K, et al. Theory-based analysis of clinical efficacy of triptans using receptor occupancy. J Headache Pain 2014.

    8. Kodera Y, et al. Seasonal difference in the incidence of ischemic stroke patients treated with intravenous tissue plasminogen activator. Int J Stroke 2014; 9: 67.