脳卒中・神経センター

    ご挨拶

    本邦では、2025年には65歳以上の高齢者が人口の30%を超えますが、東京都では他の地域よりも急速に高齢化が進行しており、ここ八王子も例外ではありません。そのため、住み慣れた地域で医療・介護・生活支援を受けられることを目指した「地域包括ケアシステム」を一刻も早く確立することが、焦眉の急となっています。特に、脳卒中に関しては、認知症と同様に高齢者ほど有病率が高く、急性期から維持期までをシームレスにカバーする医療連携が必須です。

    急性期脳卒中診療では、MRI ファーストによる「24 時間t-PA 体制」を早期より実践しており、2018 年にはt-PA 静注療法を計32 人の患者に行いました。また、最近の脳卒中治療のパラダイムシフトの中核となる「脳血管内治療」を計34 人の患者に行っており、この中には、近隣の病院で行われたt-PA 静注療法で再開通が得られず、当院に転送されて血管内治療により血行再建を果たした急性期大血管閉塞(ELVO)症例も含まれています(Drip, Ship & Retrieve)。また、脳動脈瘤・動静脈奇形に対する血管内治療(小田教授)、頭蓋底腫瘍に対する先端的手術(今井講師)、あるいはボツリヌス・トキシン筋注による脳卒中後の痙縮治療(古川医長)などの先進的な治療も行っております。

    てんかんや脳炎などの神経救急疾患の多くは意識障害や筋力低下を来し、いわゆる「stroke mimics」として当センターに搬送されます。特に、ギラン・バレー症候群、自己免疫性脳炎などの神経救急疾患は、周辺の医療圏からも数多く当院に受け入れております。一方、パーキンソン病やALS などの神経変性疾患に関しても広く診療を行っており、神経学的所見や画像検査に基づいた正確な診断を心がけています。

    頭痛に関しても、頭痛専門医による精緻な診療を行っており、頭痛診療の中核施設として頭痛学会や頭痛協会(北川名誉教授)から認定されています。最近では、雷鳴頭痛を呈する可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の経時的変化を脳神経外科下田教授らが明らかにし、片頭痛患者における白質病変の機序としても注目されています。

    当センターでは医療連携にも力を注いでおり、私が代表を務める「南多摩医療圏脳卒中医療連携協議会」では、年2 回「脳卒中市民公開講座」を行っています。また、八王子医師会が推進している医療連携ツール「まどころネット」も積極的に利用しています


    脳卒中・神経センター担当医